演題募集

司会のことば

シンポジウム

「 非代償性肝硬変に対する抗ウィルス療法 ~最新の知見と今後の展望~ 」
司会
持田 智
(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科)
厚川 正則
(日本医科大学 消化器・肝臓内科)
(司会のことば)

C型非代償性肝硬変に対するDAA治療が開始されて約2年が経過し、SVR後の長期予後を検討する時期を迎えた。実臨床で高い有効性と安全性は確認されたが、非代償性症例で肝線維化、肝予備能、門脈圧亢進症がどの程度改善するのか、肝発癌はどの程度抑制されるのかは明らかでない。また、改善が見られない場合には、IVR治療を追加することの意義も検討する必要があり、その時期に関して、DAA治療前、治療後の何れが適切かを明らかにしなくてはならない。本シンポジウムでは、DAA治療を行ったC型非代償性肝硬変のみならず、核酸アナログで治療しているB型非代償性肝硬変も対象として、ウイルス制御が門脈圧亢進症および長期予後に与える影響を明確にしたい。多数の演題の応募を期待する。

「 門脈圧亢進症に対するIVR治療 ~最新の知見と今後の展望~ 」
司会
荒木 拓次
(山梨大学 放射線科)
工藤 康一
(済生会熊本病院 消化器内科)
(司会のことば)

IVR治療は門脈圧亢進症疾患治療の大きなの柱の一つとなっています。PSE、PTO など比較的従来からある技術の新たな視点や、BRTOのより安全性を追求した変法の開発などIVR治療は日々変化を遂げています。また、TIPSの本邦における保険収載も急務の問題となっています。これからのIVR 治療を考えるにあたり、現状のIVR治療の最先端、新たなIVR技術の普及、発展とともに、内視鏡治療や薬物治療など他治療との併用など門脈圧亢進症疾患に対する総合的な視野からのIVR、また、解剖学的視点によるIVRについても議論されるべきであろうと考えます。
本シンポジウムでは、門脈圧亢進症疾患に対する様々なIVR治療の最新の知見、新たなIVR技術についての議論とともに、他治療との組み合わせなど総合的視野からのIVR治療、解剖学的視点からのIVR治療の可能性なども含め、演題を広く募集し、討論したいと思います。

「 食道胃静脈瘤に対する手術療法 ~最新の知見と今後の展望~ 」
司会
太田 正之
(国際医療戦略研究推進センター)
赤星 朋比古
(九州大学医学研究院 先端医療医学)
(司会のことば)

わが国では食道胃静脈瘤に対する手術療法は1950年代に開始され、1980年代までは静脈瘤に対する主な治療法として広く行われていた。その後内視鏡的治療の台頭により、現在手術療法は門脈圧亢進症患者の限られた症例にのみ施行されている。その適応は内視鏡的治療やIVRで対処困難な食道胃静脈瘤や脾機能亢進症、Budd-Chiari症候群などであるが、現在も手術療法の重要性は必ずしも低下していない。本セッションでは食道胃静脈瘤症例に対するHassab手術や選択的シャント手術、脾臓摘出術、またBudd-Chiari症候群に対する直達手術や腹腔鏡下手術などの手技と長期成績をご提示いただき、最新の知見を明らかにし、今後の展望を考察したい。

パネルディスカッション

「 門脈血行異常症の診断と治療の最前線 ~IPH・EHO・BCS~ 」
司会
大久保 裕直
(順天堂大学練馬病院 消化器内科)
古市 好宏
(東京医科大学 消化器内科)
(司会のことば)

門脈血行動態の異常を来す特発性門脈圧亢進症(IPH)は原因不明と言われており、治療法も存在しなかった。そのため1975年よりIPHに関する調査研究班が編成され、厚生省特定疾患として約40年間調査研究されてきた。1984年からは、肝外門脈閉塞症(EHO)とバッドキアリ症候群(BCS)が対象疾患として加えられ、難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班として研究が継続されている。IPHは世界的にも稀な疾患であり、海外では病因病態に関する積極的な研究は少ない。また、本邦のEHO・BCSに関しては、その病因病態が欧米諸国と異なるという報告もある。そのため3疾患の病因病態の解明と新たな治療法の開発が望まれている。本ワークショップは門脈血行異常症の病因病態解明につながるような基礎・臨床診断、治療の進歩について演題を集め、大いなる議論を展開したい。

「 門脈圧亢進症と肝移植 」
司会
江口 晋
(長崎大学大学院 移植・消化器外科)
金子 順一
(東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症に対する肝移植は重要な治療法の一つである。肝移植を見据えた周術期の門脈圧亢進症に対する治療戦略として、肝移植前の門脈圧亢進症の治療、術中に門脈血栓やシャントの問題にどのように対応するか、術後の門脈圧亢進症の原因と治療はどのようにしているのかについて論じていただきたい。また、近年増加しつつある脳死肝移植に対し、術前の門脈圧亢進症の治療戦略についても述べていただきたい。

「 門脈圧亢進症の病態解明 ~最新の知見と今後の展望~ 」
司会
鹿毛 政義
(純真学園大学保健医療学部 医療工学学科)
石川 剛
(山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学)
(司会のことば)

慢性肝疾患における門脈圧亢進機序として、Outflow blockとIncreased inflowが挙げられる。前者には肝線維化や類洞収縮が、また後者には門脈血流増加やずり応力増大が密接に関与しており、門脈圧亢進は肝内血管抵抗上昇だけに限局する病態ではなく、全身内臓系循環亢進状態を伴うSystemic diseaseと捉えるべきである。近年、類洞内皮障害のメカニズムやその過程おける血管作動性因子のインターアクションが明らかにされつつあるが、側副血行路発達の機序やその血行動態、さらには消化管や脾臓との関連性(臓器相関)など、今後我々が解決すべき研究課題は山積みである。門脈圧亢進症の複雑極まりない病態解明のためには基礎と臨床のクロストークが不可欠であり、本セッションでは、その新たな診断および治療法の開発につながる最新の研究成果のプレゼンテーション、それに対する熱いディスカッションを期待したい。

「 若手医師から見た門脈圧亢進症 」
司会
八木 真太郎
(金沢大学 肝胆膵・移植外科)
川野 陽一
(日本医科大学千葉北総病院 外科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症の病因は多岐にわたり、その治療方法も薬物療法から内視鏡治療、肝移植を含めた外科治療までの組み合わせで選択されるため、若手医師の理解は困難であり敬遠されがちな病態といえる。しかしながら、比較的古い学問的歴史と根治が困難な病態を持つ本領域の進歩のためには知識の伝承、若手医師の活躍が不可欠である。当パネルディスカッションでは、症例経験などを通して若手医師が抱いている印象、疑問点などを明らかにし、病態の分かりやすい理解法、リーズナブルな治療法選択が模索出来るような、若手医師のモチベーションを上げるディスカッションをしていただきたい。

ワークショップ

「 門脈血栓症の病態、診断、治療 」
司会
於保 和彦
(一般財団法人 医療・介護・教育研究財団 柳川病院 内科・消化器内科)
日高 央
(北里大学 医学部消化器内科学)
(司会のことば)

肝硬変診療ガイドライン2020において、門脈血栓症の病態・予後に関しては、肝硬変患者の10~25%にみられ、長期予後の増悪につながる場合があると定義された。さらに治療は、予後に及ぼす影響を検討したうえで抗凝固療法を行うことが提案された。本邦ではアンチトロンビンが70%以下の場合のみ、同製剤使用の保険承認が得られている。しかしアンチトロンビンが70%以上の症例や、ヘパリン製剤との併用療法、DOACを用いた維持療法の是非、さらには脾摘後の抗凝固療法の必要性、また凝固・線溶系マーカーの診断の有用性など不明な点も多い。このワークショップにおいては、今までのエビデンスに基づいた症例集積での報告はもちろん、小数例であっても新たな視点に基づいた報告をお願いしたい。“門脈道”を極めるための門脈血栓症の病態、診断、治療をディスカッションできれば幸いである。

「 難治性腹水・胸水の治療 」
司会
吉治 仁志
(奈良県立医科大学 消化器代謝内科)
馬場 俊之
(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
(司会のことば)

2020 年に肝硬変診療ガイドラインが改訂され、近年のエビデンスに基づく診療指針が明示された。長期生存が得られた肝硬変では合併症対策が課題となるが、腹水は非代償期に発症し、QOLを損なうため適切な対応が必要とされる。単純性腹水では腎保護の観点から適切な塩分制限の意義、段階的な利尿剤の種類および容量の選択が明確にされた。難治性腹水では腹水穿刺排液、CART、さらに腹腔静脈シャント、TIPSなどが考慮されるが、その選択はそれぞれ施設に委ねられている。何れにしても習熟した専門医による治療が要求される領域であり、本ワークショップでは背景や病態に応じた腹水治療についてご発表頂き、QOLの改善、さらに生命予後の延長に寄与する集学的な腹水治療はどうあるべきか討論したい。

「 門脈圧亢進症を伴う肝硬変に対する薬物療法の進歩 ~QOL,予後の改善を目指して~ 」
司会
森山 光彦
(日本大学 医学部内科学系消化器肝臓内科学分野)
河田 則文
(大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
(司会のことば)

門脈圧亢進症を伴う肝硬変に対する薬物療法が近年格段に進歩した。それらはβブロッカーのように門脈圧を低下させる薬物療法、種々の利尿剤による腹水や浮腫の軽減、高アンモニア血症や肝性脳症に対する薬物療法、門脈血栓症、血小板減少症や掻痒症に対する薬物療法などが含まれる。また、門脈肺高血圧に対する薬物療法にも注目が集まっている。このような門脈圧亢進症を伴う肝硬変に対する薬物治療の進歩により肝硬変合併症が軽減され患者のQOLが改善するのみならず、肝硬変患者の予後の改善が見られるようになった。また、これらの薬物療法がもたらす体内代謝への影響が、例えば腸内細菌叢の変化に代表されるように、分子レベルで解明されつつある。本ワークショップでは、門脈圧亢進症を伴う肝硬変に対する薬物療法の最新知見について、基礎ならびに臨床的側面から大いなるディスカッションを期待したい。

「 門脈圧亢進症と臓器相関 心、肝、肺、腎、脾 」
司会
山崎 隆弘
(山口大学大学院医学系研究科 臨床検査・腫瘍学講座)
寺井 崇二
(新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野)
(司会のことば)

門脈圧亢進は、末梢血管の拡張を起点として全身内臓系循環亢進状態をもたらし、肝臓以外の様々な臓器に影響を及し得る。近年、代謝の中心臓器である肝臓と他臓器の密接な関連性(臓器相関)に注目が集まっているが、各臓器障害の発症機序、発症の時間軸(同時性・異時性)、さらには臓器親和性など未だ不明な点が多い。肝肺症候群、門脈肺高血圧などの呼吸器系異常に関してはそれぞれの病態把握とそれに即した治療介入が必須であり、またPSEや脾摘に加えて薬物療法が普及してきた脾腫・脾機能亢進症に関しては免疫系制御の解明が急務と言える。本ワークショップでは、門脈圧亢進症における多臓器(心・肝・肺・腎・脾)との相関にフォーカスを当て、エンドセリン・NO・トロンボポエチン・L-FLABP・NGALなど新たなバイオマーカーにも着目して、その病態・診断・治療に関する多方面からのアプローチを発表・議論して頂きたい。

「 門脈圧亢進症治療の研修の在り方 ~内視鏡、IVR、手術の教育の実際~ 」
司会
小原 勝敏
(福島県保健衛生協会 内視鏡センター)
谷合 信彦
(日本医科大学武蔵小杉病院 消化器外科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症の症状は食道・胃静脈瘤、脾腫・脾機能亢進症、腹水貯留、肝性脳症などさまざまであり、その治療には血行動態把握などの専門的な知識が必要とされ、治療法も内視鏡治療、IVR、手術療法と多岐にわたります。日本門脈圧亢進症学会においては2014年よりそれぞれの治療分野で技術認定制度を開始し、技術認定習得者としてその技術を評価しております。今後、この技術認定制度に従い技術認定医を習得すべき、若手の医師に対して門脈圧亢進症に対する診断・治療の研修が行われると考えております。
今回のワークショップにおいては、各施設における内視鏡治療、IVR、手術療法、それぞれの治療分野において若手医師に対する教育の実際を提示して頂き、今後の各施設の研修体制の構築、さらに学会の技術認定制度の進むべき方向性を議論できればと考えております。

「 門脈圧亢進症における循環動態 ~門脈系循環・全身循環~ 」
司会
村島 直哉
(三宿病院 消化器科)
近森 文夫
(高知赤十字病院 外科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症の最終形態として、腫大した脾臓を顔、側副路すべてを蛇髪とみなす、Splanchnic Caput Medusaeは、いかなる因子の変化から発生し、どのように全身の循環動態に影響しているのか?エンドセリンやTGF-βを介して肝線維化を助長する腫大した脾臓、性ホルモンの代謝障害や肝内外シャントによるエンドトキシン・アンモニアをはじめとする腸管由来の物質過剰、交感神経の興奮による心拍出量増加や心機能変化、腎をターゲットにした体液性ホルモン動態変化など様々な因子とメカニズムが関与している。さらに薬物・内視鏡・IVR・移植による治療介入前後の循環・体液変化はどうであろうか?最近注目される肝肺症候群、門脈肺高血圧症、肝腎症候群など他臓器の循環動態を理解することも必要である。現時点で得られた循環動態の各種モダリティーを用いた分析に関して、興味ある結果があれば一例報告でも発表いただきたい。

ビデオワークショップ

「 食道胃静脈瘤における内視鏡治療のknack&pitfalls 」
司会
吉田 智治
(北九州小倉病院 内科)
入澤 篤志
(獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座)
(司会のことば)

食道胃静脈瘤に対する内視鏡治療法に関しては、これまでにも様々な方法が考案され良い治療成績が報告されてきた。現在では、内視鏡治療の位置づけ・手技はほぼ確立されたと言っても過言ではない。しかしながら、食道胃静脈瘤の背景疾患や病態、そしてその血行動態は様々であり、完全かつ効果的な治療を遂行するためには、各症例に応じた適切な治療を考慮する必要がある。本ビデオワークショップでは、食道胃静脈瘤に対する内視鏡治療について、各治療手技におけるknack & pitfalls(要点と盲点)をビデオにて呈示頂き、より良い内視鏡治療のあり方について討論したい。多くの演題を期待する。

「 異所性静脈瘤治療のknack&pitfalls 」
司会
林 星舟
(多摩平の森の病院 内科)
中村 真一
(東京女子医科大学 消化器内科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症では様々な側副血行路が形成される。この中で、食道・胃静脈瘤以外の消化管臓器(十二指腸、小腸、結腸、直腸、胆嚢および胆管など)に形成された静脈瘤はいわゆる異所性静脈瘤と称されている。異所性静脈瘤は食道・胃静脈瘤に比べ頻度は低いものの、消化管出血を契機に発見されることもしばしばである。昨今、3D-CTや特殊内視鏡などによる詳細な画像診断が容易となり、また内視鏡治療やIVR技術も進歩し、異所性静脈瘤に対する診断・治療は以前に比べ身近になってきてはいるが、その血行動態や出血の危険性、治療法については未controversialであり、症例のさらなる蓄積が必要である。本ワークショップでは十二指腸、小腸、大腸、直腸の消化管静脈瘤をはじめ、術後の吻合部静脈瘤なども対象とし、その診断とmanagementについての知見をご発表いただきたい。示唆に富む血行動態診断、治療が奏功した症例など、今後の静脈瘤診療に役立つ討論を期待している。

「 門脈圧亢進症手術におけるknack&pitfalls 」
司会
杉岡 篤
(藤田医科大学 総合消化器外科)
川中 博文
(国立病院機構別府医療センター 臨床研究部・消化器外科)
(司会のことば)

門脈圧亢進症に対する治療の変遷において、内視鏡治療やIVRが主に行われるようになり、侵襲の大きな外科手術が行われる機会は少なくなった。しかし、内視鏡治療やIVRに抵抗性の難治性食道胃静脈瘤や異所性静脈瘤および高度の脾機能亢進症など、外科手術でなければ対応が難しい症例は存在する。最近では腹腔鏡・ロボット手術の進歩により、低侵襲に門脈圧亢進症手術が可能となった。しかし、門脈圧亢進症手術を安全に行うには、門脈圧亢進症の病態の理解が不可欠であり、血小板減少・凝固因子欠乏・門脈圧亢進・側副血行路の発達による易出血性に対して高度な技術が要求され、安全を担保した手術が必要である。
本ビデオワークショップでは、低侵襲脾摘術・Hassab手術、各種シャント手術、IVRと手術を組み合わせたハイブリッド手術など、各施設のビデオをご提示いただき、手術成績ならびに手技の工夫や注意点について報告していただきたい。